滝沢歌舞伎2016@新橋演舞場(増田良くんと丁寧たちをそえて)
滝沢歌舞伎出演を聞いてからというもの、ひたすら春を待ち遠しく感じていた。
天気がとても良い日に、食堂で友人から「増田くん!歌舞伎!」という一報を受けた、そんな1月の某日がたった何日か前のような気がする。
10年目を迎えた伝統ある滝沢歌舞伎での千秋楽を、増田くんが無事、迎えることができたこと、素直に嬉しい。おめでとうございました!
突然だけれど、「もの」を作る上での「ひと」の思考の過程を感じたり、見たりすることが、個人的にとても好きだ。
ある程度のエンターテイメント性を含む楽しい展示空間が広がっているとともに、世界の第一線を走るプロフェッショナル集団が存在していることを、そこではこちらに見せてきていた。
ただただ細かなの思考の積み重ねに、ただただ驚くばかり。
そんなに!?と思ってしまうほど、思考を突き詰めている、この世界に、このキャラクターにどういう背景があったのか、なぜこういう風になったのか、こうしたらどうするか、書き切れない程。
そういったことを脚本家、平面キャラクターを描く人、平面キャラクターを立体キャラクターへ変身させる人、カラーコーディネーター...などなど...様々な分野のプロたちが当たり前のように、手を抜かずにやっていたのだ。
あの世界はこういう風に、こういうような人たちが、こんな想いをもってやっていたのか、こんなドラマがあってあの作品があったのか、と作品顔負けのストーリーがそこにあることにぞくぞくしてしまう時間がたまらなかった。
プロが行う思考の描き起こしや書き起こしは、それだけで展示物となるのだ。
そして何より、情熱と愛をこれでもかと注ぎ、「もの」をつくっている瞬間が、あまりにも丁寧だった。
その熱を引きずったまま、滝沢歌舞伎に駆け込んだ5月。
滝沢くんがはじめに舞う場面、下手側で一生懸命に滝沢くんのフライングロープを引っ張っているスタッフの方が不意に目に入った。
当たり前なのだけれど、あのロープ1本でタッキーが宙を華麗に舞っているのであって、夢の世界に入る入り口になる演出であって。
あのロープの動きに、どんな思考を積み重ね、擦り合わせをしたのか、どんな想いを滝沢くんとスタッフの方が持っているのか、そっちに脳みそが持っていかれてしまった。
胸が躍った。
映像ではあるけれど、2014年の滝沢歌舞伎をドキュメンタリーから本編まで目を通していたからかもしれない。
そんな光景にうっとりしていたら増田くんがオープニングから登場。ガシガシと指先まで計算されたように綺麗に踊る増田くんが見えた。
特に『蝶の戦い』の場面が印象的。美しかった。
JOHNNY'S World期間から感じ、滝沢歌舞伎を見ていて思ったこと。増田くんはひとつひとつがとても丁寧だ。
歌もダンスも舞台上での振る舞いがとても丁寧だと感じる。
観劇翌日にふらっと入った展覧会*2でも、見事な丁寧な思考の積み重ねを見ることができた。
いちばん驚いたのは「手のつなぎ方」を考える上での、下絵。
3パターンほどの下絵があり、目を移していくと、つなぎ方1つで絵の印象はまるで変わってくることが分かる。
これにも最高にぞくぞくした。
自分自身が見ているのは造形や表情だけではないことにも同時に気づかされた。
仕草、行動、声、息遣い、線、瞳、
「もの」や「ひと」の見ていないようで見ている細部まで含めて、全てを見て判断しているのだと。
増田くんの丁寧さは、そんな下絵から大元に合うものを丁寧に選んでいく、そういったものに通ずるものがあると思う。
仕草、行動、声、息遣い、線、瞳、増田くんはこれら全てで構成されていて、造形だけではない、そういった丁寧な取捨選択の上に立っている人なのではないかと思った。
1つの振る舞いに、様々な思考を巡らせてるのではないかと思わせてしまう何かがある。
それが、増田くんに惹かれ応援したい、という思いの中に隠されてる理由なのかもしれない。
滝沢くん筆頭にミニセグウェイで登場してくるシーンでも「ジャニーズの伝統、ローラースケートじゃないんだ」と思いながら「ローラースケートよりミニセグウェイの方が驚くし、電飾線も統一されていて綺麗だな」と素人目ながら感じた。「滝沢くんたちはそういう思考を経たのかなあ」なんて同時に考えてしまった。
今回は満足できるだけ観にいくことができなかったのでそれだけが心残り。
けれどドキュメント、メイキング付きの本編が円盤化されるらしいので、それを今から楽しみに。答え合わせをしたい。
いつもは直感で、あまり考えもせずに楽しい空間を体感していただけであったけど、たまたま思考の過程が見え隠れしそうな舞台に気づき、そこでまた新たな増田くんの好きな理由を偶然見つけることができたことは、とても嬉しかった。
最後に。
もっと長く舞台に立つ増田くんが見たい。
たまたまつけたチャンネルでジャニーズとはまた違うアイドルが大きな舞台でのオープニングアクトを務めていた。
けれど歌う曲は1曲だけ。
メンバーの1人がしくしく泣いて帰ってきてカメラに気づき「楽しかった」とにこっと笑ったと思ったら「もっと長くやりたかった」って涙を流していた。
増田くんもそういう悔しいという思いをたくさんしてるのだろうか。知らないところで悔しいと、なんでだと、どうにもならない黒い感情を抱えることがあるのだろうか。
土曜日の、歌舞伎出演発表報告を聞いた日と同じような、お天気な午前中、そう想いを馳せた。
1秒でも増田くんが大好きな舞台の上に立ち続けてほしい。
今回の滝沢歌舞伎、あと少しだけ、あと少しだけ前にいて、あと少しだけ台詞をがあって、あと少しだけ舞台の上にいて、欲しかった。
そう思ってしまったのも事実。
出演者一覧の名前の位置と舞台の位置の、ほんの少しの差に勝手に悔しくなったのは私だけ、なのか。
帰り道、少しだけセンチメンタルな気持ちになった。
それは、それでも増田くんは前を向いて「楽しい!嬉しい!」と、ファンに向かってきっと「ありがとう!」のようなことを言ってくれるのだと容易に想像できてしまったから。
増田くんの夢が叶うまで、欲張りなファンでいようと思う。
丁寧を重ねる増田くんがまたこの目で1秒でも長く見れる日を楽しみに、私も丁寧に日々を積み重ねようと思います。
ありがとうタッキー!ありがとう増田くん!